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艦上戦闘機を巡る論争!

≫表ダイバーは27~38ページの「世界の沈船セレクトガイド」

編集部:岸本多美子

いちばん最初のページデザイン案がこちら。「03」には飛行機を俯瞰で撮影した別カットを使っていました

チューク『富士川丸』の船倉に残る飛行機、いろいろな資料で確認すると「九六式艦上戦闘機」とされていたので、それに従いました。しかし、このページをデザインしてくれているT氏が、なぜか「九六式艦上戦闘機」の部分を「●●式艦上戦闘機」と、あえて数字を潰してページデザインを仕上げてきました。

「私が数字を書き忘れたかな?」と思い連絡すると、「原稿では九六式になっていましたが、これは九六式ではありませんよ」とキッパリ。「ゼロ式です。この主翼の形が云々~~~。コックピットの形が云々~~~。太平洋戦争が始まる前には、もうすでに九六式は使われなくなっていたはずで、云々~~~」と写真付きでレクチャーを受けました(繰り返しますが、T氏はデザイナーです)。

なるほど!! と思ったので、「零式艦上戦闘機」にいったん変更。しかし、現地のダイビングサービスTreasures鵜口さんからは気になる情報が……。「いや、九六式だと思いますよ。というのも昭和58年に吉村朝之さんがアサヒグラフに零戦として載せたらしいんですが、そのあと戦闘機の研究家から指摘があったそうです。その後調査して九六式と判明したそうです」と。

T氏が送ってきてくれた資料を元にすると九六式には見えないけれど、過去のメディアでそうした経緯があるのなら、九六式としておいたほうが無難なのかな~、と悩みます。一番手っ取り早い解決方法は、ただの「艦上戦闘機」として紹介すればいいのですが、それではどうにも収まりが悪いのです。

そこで、古見カメラマンが撮影した他の写真も見せてもらうと、はっきりと九六式とわかる機体が写った写真も出てきました。零式と九六式の両方が積まれていたんです!!!!!
はぁ、スッキリ♪♪♪

それにしても、デザイナーT氏の博識ぶり(オタクぶり!?)には驚かされました。以下、T氏のレクチャーから、一部抜粋です。

興味のあるかたは→

そして、T氏曰く、九六式と零式では、バイクで言うと125ccと250ccくらい性能が違うそうなんです。こんなに古い飛行機まで使おうとしていたのかぁと驚いていると、「ちなみにアメリカは400ccくらい」と。そそそんなに歴然とした差があったとは! ゼロ戦といえば、戦時中の日本の飛行機全般を指すのかと思っていたくらいの私ですが、ゼロ戦は零式艦上戦闘機のことで、さらに零式の中でもさまざまなタイプがあることを知りました。編集作業をしながら、レックダイビングの奥深さ、そそして、知っておくべき日本の歴史まで、たどり着いた気がします。

「だから、この飛行機は零式なんです!」というT氏の説明に納得

古見カメラマン撮影の写真から、九六式と零式の両方が写っているカットを発見!

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